中嶋常幸プロインタビュー「松山英樹プロトミーアカデミー合宿で子どもたちに伝えてくれた本当に大切なこと」

松山英樹プロのショットを見つめる中嶋常幸プロとヒルズゴルフトミーアカデミーの生徒たち
中嶋常幸プロインタビュー「松山英樹プロトミーアカデミー合宿で子どもたちに伝えてくれた本当に大切なこと」
ヒルズゴルフトミーアカデミーの合宿に、松山英樹プロが10年ぶりに参加。世界の第一線で戦い続けるトッププロとの交流は、子どもたちにとってかけがえのない時間となりました。松山プロの参加によって子どもたちに何がもたらされたのか、そしてこの貴重な機会をきっかけに、どのような成長を期待しているのか? 中嶋常幸プロに話を伺いました。

中嶋常幸(なかじまつねゆき)
ツアー通算48勝。4度の賞金王に輝いた日本ゴルフ界を代表する名プレーヤー。メジャー4大会すべてでトップ10入りを果たしている。
子供たちのレベルが上がってきている今が松山プロに来てもらうタイミングだと思った
▼今回の合宿で松山英樹プロを招いた狙い
子どもたちにとって何が一番いいかを考えました。2025年はトミーアカデミーの長﨑大星がアジアパシフィックアマチュアで惜しくも敗れるなど悔しさが残りました。また、長﨑大星や隅内雅人など今アカデミーにはハイレベルな男子選手が多いので、来てもらうタイミングだと思いました。
そこで英樹に「12月の合宿に来てくれる?」と聞いたら、二つ返事で「いいですよ」と言ってくれました。12月はイベントや挨拶などでトッププロにとって忙しい時期なのですが、それでも来てくれたことには感謝しかありません。
▼生徒だけでなく松山プロも楽しんでいるように見えました
本当に子どもたちと楽しそうでしたね。レベルの高い子どもたちなので、教えるのが楽しかったのだと思います。
本日参加していたアカデミーの子供たちは、何気ない英樹の言葉にも反応していました。「それ、普通の会話でしょ」という内容でも、子どもたちにはすごく引っかかっていて、反応する子どもたちに対して英樹が面白がっていました。自分の言葉が彼らに届いていると思えることが、楽しかったんじゃないかと思います。
▼印象に残ったこと
1週間前から天気予報を見ていて、雨が心配でした。「せっかく来てくれるのに」と思っていましたが、前日になって雨は大丈夫そうになり、当日も雨がいつ降ってもおかしくない状況でしたが降らなかった。アカデミーの子どもたちは運を持っていますね。
中嶋プロと松山プロが重視する共通点は基本をしっかり身につけること
▼松山プロに来てもらい生徒に伝えたかったことは?
英樹とも話しましたが、やはり「ドローが基本」という考えは私と一致しています。トミーアカデミーでは左腕を基準にドローボールから始めます。ドローが打ててこそのフェードです。
今回参加してくれた入谷響プロ(2025年にツアーデビューして1勝)について、英樹に「何かが足りないと思うんだけど」と聞いたら「下半身では」と答えました。もっとしっかりした土台を作るべきだと指摘してくれました。私が何か足りないと感じていた部分を英樹が言ってくれました。
まず体をつくり、その先にスイングがあるという考え方も一致しているんです。
各選手の足りない部分を的確に指摘してくれたのが今回はとても良かったと思っています。やっぱり英樹の見る力は高く、これだけの眼力があって、技術があって、向上心があって、引き出しもたくさんある。彼が米国ツアーで戦えている理由はそこにあると感じます。
▼松山プロだけアプローチの音が違うことに生徒たちが驚いていました
あの乾いた「カツン」という音は、トッププロでも出せないです。他の選手はみんな湿った音がしています。日本であの音を出せる選手は英樹だけだと思います。
▼松山プロはアプローチで徹底的に基本を練習していると語っていました
アカデミーでも話していますが、基本をとことん学ぶことが大事です。基本を身につけているから現場での“臨機応変”が可能になります。基本がないまま対応するのは“行き当たりばったり”です。基本を徹底的に学んでいけばどんなライでもどんな状況でもそれに対応する応用力がでてきます。それが“臨機応変”な対応になります。
英樹のように世界を舞台に頑張って欲しい!メジャーに勝つ選手が出せたら幸せ
▼ジュニア時代にもっとやっておけばよかったこととして松山プロはトレーニングをあげていました
私たちの時代は水も飲むなというような時代で、トレーニングの正しい知識を教える人がいませんでした。トレーニングの体系化が進んだのは英樹の時代の少し前からで、今はさらに進化しています。英樹にしてみるともっと早く今の知識があれば、という思いだと思います。
▼子供たちにもトレーニングの重要性を指摘する場面が多かったです
多くの選手が小手先の技術に走りがちです。本当は体に原因があるのに打ち方を変えようとする。まず体をつくり、その上に技術があります。小手先の技術に走っちゃいけないという警鐘を、英樹が鳴らしてくれました。
▼松山プロはジュニア育成にも興味があるのでしょうか?
朝に話しましたが、将来、ジュニア育成に関わりたいという思いは強いと感じました。トミーアカデミーは一つの参考になると思います。
重要なのは、どんな主義と主張、あるいは精神を持って自分のアカデミーをつくるかです。英樹がやるなら協力者は多いでしょう。金をバーンと出すから俺のアカデミーをやってくれという方も出てくると思うし、とても大きな組織が協力してくれるかもしれませんがその場合は自由がなくなる懸念があります。
私はここで本当に自由にやらせてもらっている。それを見て、トミーアカデミーのような形もいいと思ったかもしれません。
▼トミーアカデミーでは子供たちが自由というか自発的に動いていますね
本当にこのトミーアカデミーはアカデミーらしいなと思います。子どもたちは真剣さがあり、笑いもある。苦しくもあり、楽しくもあり、学びもある。そういう意味では本当にいいアカデミーをやれています。
ゴルフ場を好きなように使わせていただいていますし、メンバーさんも味方してくれるし、ゴルフ場のスタッフさんもみんなすごく協力してくれています。こんなアカデミーは他にないと思います。ゴルフ場やアカデミーを支えている「サポーターズクラブ」の皆様には心から感謝しています。
トレーニングの重要性とトミーアカデミーで生徒が育つ理由
▼今回の機会を生かして、子供たちにはどのように成長して欲しいですか?
英樹のように世界を舞台に頑張れって感じです。言葉が上手いとか、喋れるとか喋れないは関係ないんです。今日示してくれたように、子供たちに大切なことを伝えてくれたじゃないですか。そういう選手になってほしいです。
言葉以上に人に感動を伝えられる人になってほしいです。
▼これからは海外で活躍することが必要?
今は日本国内だけで活躍していても限界があります。人気という面に関しても海外を軸にしなければ、日本ツアーも引っ張れません。日本の芝と海外の芝は違うから、やっぱり打ち方とかクラブを変えなくてはいけません。向こうに馴染むには向こうでやらなくてはいけません。そういう意味では日本をこれから引っ張っていく選手というのは、海外を軸足にしなければダメだと思います。
▼今後のトミーアカデミーの目標について
当初は世界で活躍できる選手を育てたいという思いでした。女子は米国ツアーで勝つ選手が出てきていて、男子も日本で結果を出している。ただ、メジャーチャンピオンはまだです。これからはマスターズに出場したり、メジャーに勝つ選手を出したい。それを見られたら幸せです。

トミーアカデミーの合宿が終了し握手をする松山英樹プロと中嶋常幸プロ
